個人事業主にハウスクリーニングを依頼するメリットとデメリットは!?法人(企業)との違いや選び方をプロが解説

ハウスクリーニングマッチングサイトや、ポータルサイトの普及が進んでいます。それにより、大手業者や地元の法人(企業)に限らず「個人事業主にハウスクリーニングを依頼する」というケースも増えてきたように見受けられます。
中には驚くほど価格が安かったり、人によっては丁寧で親しみやすかったりと、メリットもあることでしょう。でもその一方で、「あれ?こんなはずじゃなかった……」というトラブルが起きることもめずらしいことではありません。
そのため、メリットとデメリットを充分に理解した上で、個人事業主に依頼するか、法人(企業)に依頼するかを検討する必要があります。
本ページでは、20年以上ハウスクリーニング業界で働いてきた私の視点から、個人事業者に依頼するメリットとデメリット、そして失敗しない業者選びのコツを分かりやすくお伝えします。
これからハウスクリーニングの依頼を考えている方は必見です!
マッチングサイトの登場で変わるハウスクリーニングの依頼先
近年、ハウスクリーニング業界に大きな変化が起きています。そのひとつが、マッチングサイトの登場と普及です。
これまでは「会社に電話して予約する」「企業のウェブサイトを比較して予約する」のが一般的だったハウスクリーニング行か。それが最近では「スマホで一覧から比較してポチッと予約」「LINEで依頼」など、ずいぶん手軽になりました。
そしてこの流れに乗って、個人でハウスクリーニングを請け負う業者も増えてきました。
つまり、お客様が依頼する先が、大手企業や地元企業のほぼ一択だった時代から、“選べる時代”に変わってきているというわけです。
ハウスクリーニング業界にマッチングサイトが増えてきた背景
マッチングサイトが増えた背景には、以下のような理由があります。
- 家事代行・清掃ニーズの拡大(共働き・高齢化)
- スマホ普及によりネット予約が当たり前に
- 副業解禁の流れで個人がサービス提供しやすくなった
- ハウスクリーニング業のはじめやすさ(サービス供給者の多さ)
結果として、需要と供給が急増。「気軽に頼みたい」「安く済ませたい」「簡単に比較して選びたい」という層に向けたサービスが、今のマッチング型サービスの原点です。
マッチングサイト経由=個人事業主に依頼しているケースも多い
一見、依頼先は企業(法人)のように見えるマッチングサイトですが、実際には登録されているのは個人事業主というケースがとても多いです。
というのも、個人名ではなく、屋号を付けて活動する方も多く、一見個人には見えないこともあるからです。
つまり、「マッチングサイト経由で企業に頼んだつもりが、実は個人事業主に依頼していた……」ということも珍しくありません。

複数のマッチングサイトがあり、中には個人事業主がほとんどというサイトもあります。
業者の選択肢が増えた反面、見極めの重要性もアップ
個人事業主により依頼先が増えるのは良いことですが、それは同時に「選ぶのが難しくなった」とも言えます。
- 口コミが良くても実際は微妙……
- 安かったけど雑な仕事だった……
- サポートが適当だった……
こうした声も増えているのが現実です。
もちろん、良い個人事業主もたくさんいます。ただし、マッチングサイトは誰でも登録できてしまう仕組みになっている以上、技術や責任感の無い人もいます。
そのためマッチングサイトは玉石混交と言えます。依頼先の良し悪しの見極めが必要になるのです。
次章からは、個人事業者に依頼する場合の「メリット」と「デメリット・注意点」を丁寧に見ていきましょう。
個人事業主に依頼するメリットとは?

個人でハウスクリーニングをしている方に直接依頼するメリットというのも、もちろんあります。
私自身も、長年この業界にいて「この人、個人だけどすごく丁寧で信頼できるなぁ」という方と多く出会ってきました。
ここでは、そんな“良い個人業主”に依頼できたときのメリットを3つご紹介します。
価格が安めに設定されていることが多い
まず挙げられるのが「料金の安さ」です。
個人事業主は、会社という存在なしにお客様から報酬を受け取れるため、余計な経費が発生しません。また、自分や家族が生活できれば良い……という認識で仕事を獲得している人もいます。
ですからその分、価格を抑えてサービスを提供できるのです。
例として──
- 大手業者:エアコンクリーニング 1台 12,000円前後
- 個人事業主:同条件で 8,000円前後
などというケースも珍しくありません。
もちろん価格だけで決めてしまうのは危険ですが、コストパフォーマンスという面では強みと言えるでしょう。
担当者が変わらず一貫して対応してくれる安心感
個人事業主の場合、見積もりから作業まで同じ人が担当してくれることが多いです。
これは、人によってはとっても安心できるポイントの一つ。
「言ったことが伝わってなかった」
「前回と違う人が来て、対応がまちまち」
こういったことが起きづらく、人と人の信頼関係が築きやすいというのが個人依頼の良さです。

ただし企業のハウスクリーニング業者でも、同じ人をリクエストできるケースはありますね
柔軟な対応や要望への応答力が高いことも
個人の方は比較的フットワークが軽く、「少しだけ時間を延長したい」「洗面台も追加でお願いしたい」といったイレギュラー対応にも柔軟に応じてくれることがあります。
大手企業の場合、時間・内容・料金等がガチガチに決められていることが多いですが、個人ならではの“ゆとりある対応”が心強いですね。
ただし、個人だからこそ、スケジュールが詰まっていてイレギュラーに対応できないこともあるので、ケースバイケースなところもあります。
でも注意!個人業者に依頼するデメリット・リスクも知ろう

個人事業者への依頼は「当たり」であれば、たしかにコスパがよく、人によっては丁寧な対応が期待できるというメリットがあります。
ですがその一方で、知っておきたい“デメリット”や“リスク”もあるのです。
知らずに依頼してしまうと「こんなはずじゃなかった……」という結果になってしまうことも。ここではその代表的なポイントをご紹介します。
技術や知識の差が大きく、当たり外れがある
個人業者の中には、清掃業界で長年経験を積んできた大ベテランもいれば、「副業として始めたばかり」「元々は異業種だった」という素人に近い方もいます。
つまり、技術や知識の差がとても大きいのです。
たとえばエアコンクリーニングひとつ取っても──
- 分解が不完全で内部のカビが残ってしまう
- 電装部に水がかかり、故障の原因に
- 洗剤の濃度を間違えて素材を傷めてしまう
- 想定よりも時間がかかってしまう
といったことが、未熟な作業者の場合には起こり得ます。
特にエアコンは壊れやすいので、一定の品質が期待できる法人(企業)のサービスの方が安心、と感じる方もいるかもしれません。
保険未加入や法人登録なしの業者も存在
ハウスクリーニング専門会社では、作業中の事故に備えて「損害賠償保険」に加入しているのが一般的です。
一方、個人業者では保険未加入のまま営業している方も一定数います。
たとえば…
- 壁に傷がついてしまった
- 水漏れでフローリングが濡れてしまった
- 家電を破損された
といった場合、保険に加入していればすぐに対応できますが、未加入の場合は「泣き寝入り」になる可能性も。
また、開業届や税務処理を行っていない“非正式”な業者もおり、トラブル時の連絡先さえ不明……なんてこともあります。
サポート体制が弱く、トラブル時に不安が残る
個人事業者の場合、基本的には1人で営業しているため、トラブルや問い合わせにすぐ対応できないこともあります。
- 作業後の不備に連絡がつかない
- 電話・メールのレスポンスが遅い
- クレームを言いづらい雰囲気
こうした状況に不安を感じる方には、サポート窓口がしっかり整った法人業者の方が安心感があり、お勧めです。
サイトに書かれている情報と実態が違うことも
マッチングサイトには「お客様満足度94%」「5つ星評価のプロ多数在籍」など、魅力的なフレーズが並びます。
ですが、それが実際に来る人の技術を保証しているわけではありません。
「口コミは良かったのに、対応が雑だった」
「表示されていた人と違う人が来た」
といったギャップが起こりやすいのも、マッチングサイト経由で個人事業主に依頼する際の注意点です。
個人事業者の選び方で気をつけたいポイント

では、どうすれば「信頼できるハウスクリーニングの個人事業者」と出会えるのでしょうか?
それには、ちょっとした見極めポイントを押さえておくことが大切です。以下に、実際のプロ目線からお伝えしたいチェック項目をまとめました。
ホームページやSNSの情報をチェック!
最近は、個人事業主でもホームページやInstagramなどSNSを活用して、自分の仕事を発信している方が増えています。
そこで見るべきポイントは──
- 実際の施工写真が載っているか
- 顔写真や名前がきちんと出ているか
- 投稿が定期的に更新されているか
こうした情報があれば、「ちゃんと実績のある人なんだな」と判断する材料になります。
最近では、マッチングサイトでしか情報が出てこない個人事業主もあります。酷い場合には住所も全て書いていない場合もあり、連絡が付かなくなる危険もあり注意が必要です。
問い合わせ時の対応で信頼度を判断
電話やメール、LINEでのやり取りの際、対応の仕方でも信頼度が分かります。
- 返事が早いかどうか
- 丁寧な言葉づかいや説明があるか
- 見積もりの金額や内容が分かりやすいか
この時点で不安を感じるようであれば、その人に家の中を任せるのは避けた方がいいかもしれません。
実績・口コミ・写真など“根拠”を確認する
「安いから」「感じが良さそうだから」だけで依頼するのは危険です。
しっかりとした実績があるかを確認しましょう。
- 実績件数や創業年数
- お客様の声・口コミ(外部サイトもチェック)
- Before/Afterの写真など施工例
これらを事前に見ておくことで、「この人にお願いして大丈夫かな?」という不安はかなり減らせるはずです。
ただし、口コミには意図的なヤラセ・サクラも存在することがあるので、鵜呑みにするのは気をつけましょう。
補償制度は“最低限”と考えるのが吉
多くのマッチングサイトでは、トラブル時の補償制度を設けていますが、その対象範囲は非常に限定的です。
- 作業に不満がある場合は対象外
- 賠償請求は業者本人と直接やり取り
- マッチングサイトはあくまで“紹介元”にすぎない
という位置づけのため、「安心感がある」と過信してしまうと、いざという時にがっかり……となってしまいます。ですので、保証は最低限であると思っておくのがお勧めです。

マッチングサイトの管理者にクレームを言っても「当事者間で解決してください」と言われてしまうことも多いようです。
外れ業者にあたる可能性があると認識しておく
これまでも何度も記載為たとおり、個人事業者に依頼する最大の注意点は、「当たり外れの差が激しい」ということ。
もちろん、丁寧で誠実な方もたくさんいますが、中には「経験が浅い」「知識が不十分」「作業にムラがある」など、プロとは言い難い人も存在します。特に、開業して間もない人や副業として始めたばかりの方の中には、トラブル対応のノウハウがないまま営業しているケースも。
実際、「安さにつられて依頼したら、全然汚れが落ちていなかった」「作業後に連絡がつかなくなった」などの声も少なくありません。
マッチングサイトなどでは評価が高く見えても、実際は評価数が少なかったり、過去の評価が反映されていないこともあります。個人事業主に依頼する際は、こうした“外れ業者”にあたるリスクが、法人(企業)よりもあること、仕方ないことを認識しておくと良いでしょう。
個人事業主・法人(企業)どちらがいい?あなたに合った選び方とは

「結局、個人事業と法人(企業)のどちらに依頼するのが正解なの?」と迷う方も多いと思います。
でも大切なのは、「どちらが良いか」ではなく、「自分のニーズに合っているか」です。
ここでは、それぞれの特徴をふまえた選び方のポイントをお伝えします。
とにかく安く済ませたいなら「個人事業主」も検討
費用をできるだけ抑えたい方には、個人事業主も検討に入るかもしれません。
運営コストがかからない分、同じ作業内容でも法人より安く提供してくれることが多いです。
ただし、安いからといって安易に飛びつくのは禁物。特に相場よりも圧倒的に安すぎる場合は要注意です。エアコンクリーニング4000円など、まともな業者では利益がでません。また、基本価格が安くとも追加料金が発生することもあります。
サービス内容や口コミや実績、SNSなどでその人の情報をしっかり確認してから依頼するようにしましょう。

もちろん法人でもがんばっている価格の業者もいますので、法人で探すのもありです。
長くお願いしたいなら「どちらもOK」
長期的にお願いしたい場合は、個人・法人どちらにも良さがあります。
- 個人事業主:顔なじみになれば柔軟に対応してもらいやすい
- 法人:組織として引き継ぎや管理体制がしっかりしている
どちらを選ぶかは、「自分との相性」や「信頼感」がカギになります。
定期清掃を検討している場合は、まず1〜2回単発で依頼して様子を見るのがおすすめです。
トラブル時の保証がほしいなら「法人がおすすめ」
もしもの時のことを考えると、保険に加入している法人業者の方が安心です。
法人の場合、多くは「損害賠償保険」に加入しているため、作業中の破損や水漏れなどにもきちんと対応してくれます。
また、カスタマー対応の専門窓口があることも多く、連絡がつかないという心配も少ないです。
高価な家具や設備があるご家庭では、こうした点を重視するといいでしょう。
初めてで不安が強いなら「法人がおすすめ」
「初めてで不安……」「知らない人に家を任せるのが怖い」という方には、法人(企業)に依頼がおすすめです。
法人であれば、一定の教育やマニュアルが整っているため、初めてでも安心感が違います。
このように、「何を重視したいか?」によって最適な依頼先は変わってきます。
個人・法人(企業)のどちらが良い・悪いというよりも、自分に合ったスタイルで選ぶことが、満足のいく依頼につながる近道ですよ!
まとめ|“個人に安心して依頼”するために大切なこと
ハウスクリーニングの依頼先は、今や「会社だけ」ではなく、個人事業主も選択肢のひとつとなっています。
マッチングサイトの普及により個人への依頼が増える一方で、「誰に頼むか?」の見極めがとても大事な時代になりました。
今回の記事でお伝えしたことを、もう一度おさらいします。
- 個人事業主は価格が安く、中には丁寧な対応をしてくれる人もいる
- その反面、技術や保証面での差が非常に大きいため、リスクがある&見極めが重要
- マッチングサイト経由=個人依頼というケースも多く、注意が必要
- 目的や頻度に応じて、“自分に合った依頼先”を選ぶのがコツ
- 法人(企業)はやはり安定・安心感がある
何より大切なのは、「価格だけで決めないこと」。
あなたの大切な住まいを任せるパートナーとして、“信頼できるハウスクリーニング業者”を選ぶことが、快適な暮らしの第一歩です。
「どこに頼んでいいか分からないな……」とお悩みの方がいらっしゃれば、まずは地域密着型でしっかり対応してくれる個人・法人(企業)の業者をぜひ探してみてくださいね!