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お茶の季節、秋到来!急須・ポット・茶器のお掃除&お手入れ術

急須とお茶

こんにちは!
ハウスクリーニング歴20年のコラム担当スタッフです。

段々と朝晩がひんやりしてくるこの季節、温かいお茶が恋しくなりますね(本当につい先日まではアイスで飲んでいたのに)。

湯気の向こうに立ちのぼる香り、手のひらに伝わる湯のみのぬくもり──
秋は“お茶の時間”がいっそう豊かに感じられる季節です。

そんなとき、ふと急須やポットを見てみると……茶渋や水垢がうっすらと。
「まあ、味には関係ないでしょ」と思いがちですが、実はお茶の香りや味わいを左右する大きなポイントなんです。
器が汚れていると香りがこもり、金属ポットなら水垢が渋みを引き立ててしまうことも。

そこで今回は、お茶をよりおいしく味わうための“お掃除&お手入れ術”を、プロの視点からわかりやすくまとめました。

また、10月〜11月にかけて訪れる「お茶の記念日」という豆知識にも触れながら、器を整える大切さをお伝えします。

「お茶の日なんだって!」と家族で話のネタにもしていただければ幸いです。

秋は“お茶の季節”──香りと器を整える時間を楽しもう

秋になると、暑さがやわらぎ、心と体がほっと落ち着いてきます。
夏の冷たい飲み物から、温かいお茶へと自然に手が伸びる季節。
そんな秋こそ、急須やポットを整えて“お茶時間”を充実させたいですね。

お茶をおいしく入れるコツは、茶葉や温度が重要ですが、それだけではありません。
「器が清潔であること」こそが、香りと味を最大限に引き出す秘訣。
どんなに上質な茶葉でも、茶渋がこびりついた急須では本来の風味が損なわれてしまいます。

お茶の時間を丁寧に楽しむことは、同時に暮らしを整えることでもあります。
器を磨き、香りを立てて、ゆっくりと一杯を味わう──
それはまさに“日常の中の小さなリセット”です。

なぜ秋はお茶が美味しく感じるの?

秋にお茶が美味しく感じるのには、いくつかの理由があります。
ひとつは気温と湿度の変化
涼しく乾いた空気は、香りを立たせるのに最適です。
温かいお茶を口に含むと、ふわりと香気が鼻へ抜け、心地よい安らぎを感じるのもこの季節ならでは。

さらに秋は、食欲の秋。
脂っこい料理や甘いスイーツをいただく機会も増えます。
そんなときに“渋みと香りのバランスが良い日本茶”が食後の口を整えてくれるんです。
清潔な茶器で淹れた一杯は、まるで自然の香りを味わうような贅沢さがあります。

お茶と“清め”の関係──日本の暮らしに根づく心

日本では昔から、“お茶を点てる前に掃除をする”という考え方が根づいています。
茶道では「掃除も修行のひとつ」。
ほうきで掃き、畳を拭き、茶碗を清めて、心を整える──すべては“おもてなし”の準備です。

この「清める」という行為は、ただの衛生管理ではなく、心を落ち着かせる儀式にもなります。
ハウスクリーニングの仕事をしていても感じますが、きれいになると人の気持ちも穏やかになると実感しますね。

つまり、お茶の器を磨くことは、茶葉を尊び、飲む人の心を思う行為。
その気持ちを大切にすれば、お掃除もただの作業ではなく“癒やしの時間”になるのです。

お茶の記念日をきっかけに、器を見直そう

実は10月〜11月にかけては、“お茶”にまつわる記念日が立て続けにやってきます。
お茶の季節と言えば春や初夏を思い浮かべる方も多いと思いますが、この季節を「(隠れ)お茶の月」と呼んでもいいほど、実は深い歴史と文化があるんです。

ここでは、日本茶・紅茶それぞれの記念日を紹介しながら、そこに込められた“器を大切にする心”を一緒に見ていきましょう。

10月1日「日本茶の日」──北野大茶湯に思いを馳せて

今から430年以上前の天正15年(1587年)。
豊臣秀吉公が京都・北野天満宮で開いた大茶会「北野大茶湯(きたのおおちゃのゆ)」が、この記念日の由来です。

身分や立場を超えて多くの人々にお茶をふるまい、“お茶を楽しむ心”を広めた歴史的な出来事とされています。

この出来事をもとに、伊藤園が2002年に「10月1日=日本茶の日」と制定しました。
茶道具を整え、心を込めてお茶を淹れる──
まさに“お掃除の精神”にも通じる考え方ですよね。

現代でも、お客様を迎える前に急須をすすぎ、湯のみを並べ、清潔な器で一服のお茶を差し出す。
それは北野大茶湯から受け継がれた「おもてなしの心」そのものなのです。

10月31日「栄西の日本茶の日」──心を整えるお茶の力

もうひとつの「日本茶の日」は、10月31日。
臨済宗の開祖・栄西禅師が、中国からお茶の種を持ち帰ったとされる日です。

当時、栄西は「茶は養生の仙薬なり」と説き、お茶を“心身を整える薬”として日本に広めました。

ここでもやはり“整える”というキーワードが登場します。
心を整えるには、まず身の回りを清めることから。
汚れた茶器でお茶を点てては、香りも味も台無しです。

茶器を磨くことは、自分自身の心を整えること──
お掃除・お手入れを通して「禅の精神」を感じる、そんな日でもありますね。

ただ、諸説あるようで、実際に10月31日にその事実があったかはよくわからないという意見もあります。

11月1日「紅茶の日」──ティータイムを支える道具の手入れ

続く11月1日は「紅茶の日」。
18世紀末、日本人の船頭・大黒屋光太夫がロシア皇帝に謁見した際、初めて正式に紅茶をふるまわれたことが由来とされています。

紅茶の日は、“異文化から学んだ優雅な時間”を象徴する日。
美しいティーポットやカップ、トレーなど、器の存在がとても重要です。
ポットに残った茶渋やカップのくすみを取るだけで、紅茶の香り立ちがまったく違います。

この日をきっかけに、お気に入りのティーセットを磨いてみてはいかがでしょうか?
ピカピカのカップに紅茶を注ぐ瞬間、それだけで気持ちが豊かになりますよ。

急須・ポット・茶筒の正しいお掃除&お手入れ法

繰り返しになりますが、お茶の香りや味を支えるのは、茶葉だけではありません。
毎日使う急須やポット、茶筒を清潔に保つことで、お茶本来の香りがより引き立ちます。
ここでは、素材を傷めず、道具を長く大切に使うためのお掃除法をプロ目線でご紹介します。

急須の茶渋・詰まりを防ぐお掃除法

急須にこびりついた茶渋、気になりますよね。
特に陶器や常滑焼の急須は、細かな茶葉が茶こし部分に詰まりやすく、洗いづらい構造になっています。

基本は“水洗いのみ”が鉄則。
洗剤を使うと、茶葉の香り成分が吸着してしまうため避けましょう。
ぬるま湯で軽くゆすぎ、柔らかいブラシで茶こし部分を丁寧に洗います。

頑固な茶渋には、重曹を少量溶かしたお湯に一晩浸け置きがおすすめ。
翌日スポンジで軽くこすれば、見違えるほどすっきりします。
仕上げはよくすすぎ、完全に乾かしてからフタを閉めましょう。
湿ったままだとカビやにおいの原因になります。

ポット・電気ケトルの“湯垢”リセット術

ポットの中に白く固まった“湯垢”。
これは水道水中のカルシウムやマグネシウムが熱によって析出したものです。
放置しておくと、お湯の味が変わるだけでなく、加熱効率も悪化します。

クエン酸を使ったお掃除法が簡単で安全。
1リットルの水にクエン酸小さじ1を入れ、ポットで沸騰させます。
そのまま30分ほど放置したあと、スポンジで軽くこすり、しっかりすすぐだけ。
中も外もツヤが戻り、湯気の香りがすっきりします。

電気ケトルの場合は、内部のコーティングを傷つけないよう金属タワシはNG。
布での軽い拭き上げを習慣にすれば、湯垢の再発も防げます。

茶筒の湿気・におい残りを防ぐメンテナンス

お茶の風味を守る“縁の下の力持ち”が茶筒です。
しかし、密閉度が高いだけに湿気やにおいがこもりやすく、
気づかぬうちに古いお茶の香りが新しい茶葉に移ってしまうことも。

お手入れは月に1回で十分。

  1. 茶葉をすべて取り出す
  2. 柔らかい布で内側を乾拭き
  3. 半日ほどフタを開けたまま日陰で乾燥

においが気になるときは、重曹をお茶パックに入れて一晩入れておくと効果的。
湿気を吸収し、においもスッキリ取れます。

ステンレス製はサビ防止のため、乾燥をしっかり。
木製は乾かしすぎると反りが出るので、通気性の良い場所に保管しましょう。

お茶器の素材別お掃除&お手入れポイント

お茶の道具は、陶器・ガラス・金属などさまざまな素材で作られています。
見た目や質感が異なる分、お手入れの方法もそれぞれ違います。
間違った洗い方をすると、ツヤが失われたり割れの原因になったりすることも……。
ここでは素材別に、長持ちさせるケア方法を解説します。

陶器の急須・湯のみのケア

陶器はお茶の色や香りを引き立てる、温かみのある素材です。
しかし吸水性が高いため、茶渋やにおいが残りやすいのが難点。

おすすめは「お米のとぎ汁」。
とぎ汁を鍋に入れ、茶器を10分ほど煮沸すると、でんぷんの膜が表面を保護してくれます。
この膜が汚れを付きにくくし、ツヤも出るんです。

また、重曹を小さじ1加えたぬるま湯に浸けて一晩置くと、茶渋が浮き上がります。
翌日柔らかいスポンジでやさしくこすり、乾かすだけ。
洗剤はなるべく使わず、自然素材でやさしくケアしましょう。

ガラス製ポット・耐熱カップの手入れ

ガラス製のポットやカップは清潔感がありますが、水垢やくもりが出やすいのが特徴。
くもりが気になるときは、クエン酸+キッチンペーパーでパックするのがおすすめです。

手順は簡単。
キッチンペーパーを貼りつけ、クエン酸水をスプレーして10分置き、
その後ぬるま湯で洗い流します。
指でなでるように洗うと、透明感がよみがえります。

ポイントは“完全に乾かすこと”。
濡れたまま重ねると曇りの原因になるため、風通しの良い場所で自然乾燥を。

ステンレス・金属ポットの長持ち術

ステンレス製のポットは丈夫で使いやすい一方、カルキや水垢の跡が残りやすい素材です。
放置すると白く濁ったような跡がつき、ツヤがなくなります。

対処法はお酢またはクエン酸を使った弱酸性洗浄
水500mlに小さじ1を混ぜて布で拭き、仕上げに乾いたクロスで磨くと輝きが戻ります。
ただし、強い酸で長時間放置すると変色の恐れがあるため注意してください。

外側の指紋やくすみは、乾いたマイクロファイバークロスでサッと拭くだけでも効果的。
定期的に磨くことで、ピカッとした艶を保てます。

補足:メラミンスポンジについて

メラミンスポンジ(いわゆる“激落ちくん”タイプ)は、水だけで茶渋やくすみをスッと落とせる便利なアイテムです。

研磨剤を含まないため一見やさしそうに見えますが、実際はとても細かい研磨作用を持つ「超微細なヤスリ」のようなもの。

そのため、最も手っ取り早く茶渋を落せますが、茶器の素材によってはツヤを失ったり、表面に細かい傷をつけてしまうことがあるので要注意です。

✔ メラミンスポンジを使うときのポイント

  • 水だけで使用する(洗剤不要)
    → 洗剤と併用すると、泡立ちで摩擦が増えやすくなります。
  • 強くこすらない・一点集中でこすらない
    → 力を入れすぎると釉薬やコーティングが剥がれることも。
  • 陶器・ガラスには軽く、金属や樹脂には使用しない
    → ステンレスやプラスチックは特に細かい傷が残りやすい素材です。陶器やガラスでも、ものによっては絶対に傷がつかないとはいえないので、気をつけましょう。

便利な道具だからこそ、「使いどころ」を見極めるのがポイントです。
メラミンスポンジは“力を抜いてサッと”が鉄則──上手に使えば、時間をかけずに器の美しさを取り戻せます。

メラミンスポンジについては、過去記事でも解説しているのでよろしければご覧ください。

きれいな器は“味と香り”を変える──お掃除・お手入れの効果とは

器を磨くだけで、お茶の味が変わる──なんだかうそっぽく感じますが、これは決して誇張ではありません。
実際に、清潔な茶器で淹れたお茶は香り立ちが良く、まろやかでクリアな味に仕上がります。
この章では、お掃除・お手入れによって得られる“味・見た目・気分”の3つの変化を見ていきましょう。

茶渋が味を変えるって本当?科学的な理由

お茶の渋みや苦味の原因となるのは、茶葉に含まれるタンニン。
このタンニンが茶器に付着すると、時間とともに酸化して苦味を強めてしまいます。
つまり、茶渋=古い苦味の膜なんですね。

また、茶渋は香り成分の吸着性が高く、新しい茶葉の香りを吸い取ってしまいます。
これが「前より香りが弱くなった」と感じる原因。
定期的にお掃除・お手入れして表面をリセットすることで、お茶本来の香りが蘇ります。

お手入れで“見た目”も変わる!くすみ・水垢のリセット効果

湯のみやガラスポットが曇っていると、せっかくのお茶の色がくすんで見えます。
ですが、軽く磨くだけで透明感が戻り、お茶の“緑”や“紅”がいっそう美しく感じられます。

また、照明の下で光る器は、見た目の清潔感も抜群。
お客様を迎えるときにピカピカの茶器を使うと、それだけで「丁寧に暮らしている」という印象を与えます。

お掃除・お手入れは味だけでなく、見た目の美しさと気持ちの豊かさも変えてくれるのです。

気持ちの問題かもしれませんが、やはり綺麗にしておくと美味しいように感じますね。

プロが教える!毎日できる簡単メンテナンス習慣

どんなに丁寧にお掃除しても、使いっぱなしではすぐに茶渋や水垢が戻ってきます。
大切なのは、「日々の小さなケア」を積み重ねること。
プロの現場でも、実は“こまめなひと手間”が一番の長持ちのコツなんです。
ここでは、家庭でも無理なく続けられる日常メンテナンス術をご紹介します。

使い終わったら“すぐ洗う”が鉄則

お茶を飲み終えた後、ついそのまま放置していませんか?
茶渋の一番の原因は「時間を置くこと」。
時間が経つほど茶葉中のタンニンが酸化し、こびりつきやすくなります。

ポイントは、使い終わったらすぐぬるま湯で洗うこと。
熱湯を使うと、急須や陶器にひびが入ることがあるため注意してください。
特に茶こし部分は、柔らかい歯ブラシで軽く撫でるように洗うと清潔が保てます。

洗ったあとは水分をしっかり切り、布巾で軽く拭き上げてから自然乾燥。
この習慣だけでも、茶渋の再発をぐっと減らせます。

乾かす場所とタイミングを見直そう

洗った茶器を「食器棚にすぐ戻す」のはNG。
内部に湿気が残っていると、カビやにおいの原因になります。

おすすめは、風通しの良い場所でしっかり乾かすこと。
私は自宅でも、急須やポットはフタを開けたまま半日ほど置いています。
こうするだけで、湿気や茶葉臭を防げます。

金属製ポットの場合は、水滴が錆を呼ぶので“拭き上げ仕上げ”が特に大切。
マイクロファイバークロスで軽く磨くだけでツヤが長持ちしますよ。

月に一度の“お茶道具リフレッシュデー”を作ろう

日々のケアに加えて、月に1度だけ“お茶道具のメンテナンス日”を作るのもおすすめです。
急須・ポット・茶筒をすべて出して、一斉に洗う日。
家族と一緒にやれば、ちょっとしたイベント気分にもなります。

このとき活躍するのが、重曹・クエン酸・竹炭の3つ。
・重曹…茶渋・油汚れ落とし
・クエン酸…水垢・カルキ除去
・竹炭…におい取り・湿気防止

どれも環境にやさしく、安心して使える素材です。
“お茶の香りを守るお掃除”としてもピッタリですね。

ちなみに、10月1日の「日本茶の日」や11月1日の「紅茶の日」に合わせて毎年リセットするのも素敵な習慣です。
“お茶の記念日=茶器を磨く日”──そんな季節の行事にするのもおすすめですよ。

まとめ──器を整え、お茶をもっと楽しもう

秋の澄んだ空気に、お茶の湯気がふわりと漂う…。
その瞬間、何とも言えない安心感に包まれますよね。
でもその一杯をより美味しくするためには、器を整えることが大切です。

汚れを落とし、茶渋を取ることで、味も香りもまったく違ってきます。
それに、きれいな茶器で飲むお茶は、気持ちまで穏やかにしてくれるもの。
お掃除は単なる家事ではなく、“心を整える時間”でもあります。

ピカピカの急須で淹れる一杯は、いつもよりまろやかで、香り高く、心がほっとする味になるはずです。

この秋、ぜひあなたの“お茶時間”を整えてみてください。
ほんの少しの手間で、暮らしの中に光が差し込むような、そんな穏やかなひとときが生まれるはずです🍃


おまけ:プロからのひとこと

  • 茶器を洗うときは、「洗う→すすぐ→乾かす」のリズムを習慣に。
  • 湯のみや急須は“光に透かしてチェック”すると、くもりや茶渋が見つけやすいです。
  • 茶筒は湿気とにおいが大敵!数日に一度フタを開けて空気を入れ替えましょう。

器を整えることは、お茶を丁寧に扱うこと。それが、毎日の小さな幸せを生み出す第一歩です。

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